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る分類に、より深刻な人口減少の傾向がみられる。このように、以前は立地特性がもつ制約により、離島地域の問題が説明されることが多かったが、近年その性格が変化しており、本研究では立地特性がかかわるハザードに加え、島内整備の充足度により評価される、社会特性が持つハザードを合わせた複対比較により、人口減少といった離島環境のリスクとの比較分析を進めていくこととする。
4. 社会ハザードによる人口減少要因の評価(分析?)
離島が抱える様々な社会ハザード(障害)を各種文献から言葉として抽出した上で指標化を行った。なお、指標化の際にはハザードの性格を持たせる意味で指標の逆数化あるいは平均からの減数化 注4)を行い、リスク指標との単回帰直線によりハザード指標としての性格を確認した。その結果、離島環境が抱える問題を分析する評価項目、指標(以下、ハザード指標と呼ぶ)として、39項目39指標を抽出、地理6分類毎に人口減少数を目的変数とした重回帰分析(変数増減法)を行い、島内整備の上で考慮すべき項目について評価を行った。その際、得られた偏相関係数をハザード項目と合わせ、Table-3に示す。なお、重相関係数は各分類の分析いずれも0.8以上の値が得られた 注5)。第一として、「漁港施設の未整備」「港湾施設の未整備」など分類間にみられる漁港、港湾の役割の相違であり、孤立型離島では「漁港一」、その他の分類では「港湾一」の値が高くなっている。第二に、本土間医療が進めにくいことなどから孤立離島(大型、小型の各離島)の医療に係わる項目の値が高くなっている。第三に群島における宿泊型観光に関するハザードの高さが挙げられ、「宿泊施設のなさ」「日帰り観光の多さ」が高い値となっている。第四には、孤立離島の「保安施設の未整備」「消防施設の未整備」の値の高さであり、本土から遠隔な立地特性が影響していると考えられる。最後に、「水害事故の危険性」「交通事故の危険性」といった天災、人災に関する項目についてみてみると、他の項目に比べ軒並み低い値を示し、その中、群島型離島(主島、属島)は高い関連性(負の相関)を示した。これらの項目はむしろ人口増加を示した離島に対し正の相関を示す項目であり、ある意味での都市化により発生する問題と評価できる。「娯楽施設の欠如」なども同質の評価項目である。

Table.-3 Island-hazard (Geographical 6-types)

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5. 整備の方向性の評価(分析?)
前分析では、島内整備において離島全体のリスク(人口減少)に対する各種ハザードの特徴について見いだせた。それら離島個々が抱える問題をここでは、より広域的な整備の形で評価し、リスクの改善策を検討する。今後の離島整備の方向性として、Fig.-3に示す大きく4つの方向性が考えられる。

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Fig.-3 Direction of Maintenance in Remoted island

?島内整備推進型タイプ−ネットワークによる整備ではなく個々の島内基盤整備を進める離島群
?ネットワーク推進型タイプ−地域内に拠点となる離島(以下、拠点型離島と呼ぶ)を選定した後、その離島を中心としたネットワーク 注6)による整備を進める離島群

 

 

 

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